乳がん検診Q&A

乳がんについて
乳がんは早期に見つけて手術を行えば、ほぼ完全に治すことができます。従来、乳房の診断には触診が重要視されてきました。しかし、マンモグラフィーや超音波検査などの画像診断で、まだ腫瘤として触知できない早期のがんを発見できる事が判明してきました。日本人の乳がんは40歳代から高頻度に発生しています。
どのような人が乳がんにかかりやすいの?
乳がんにかかる危険性の高い人の条件(リスクファクター)としては、下記の条件が挙げられます。

  • 家族の中に乳がん患者さんのいる方
  • 晩婚で初めてお産をした年齢が30歳以上の方
  • 授乳経験に乏しい方
  • 初潮が早く閉経が遅い方
  • 標準体重の20%以上の肥満の方
  • 乳腺疾患にかかったことのある方
  • 出産経験がない方

この条件の中でも、閉経後の肥満というのは、かなり強いリスクファクターと言われています。中・壮年の頃から肥満には十分注意したほうが良いと思います。尚、40歳以上で乳がんのリスクファクターに入る方は一度外科外来を受診されてマンモグラフィーなどで検診されてはいかがでしょうか。

乳房撮影(マンモグラフィー)ってなに?
乳房のエックス線撮影のことで、マンモグラフィーと呼ばれています。触診では診断できない小さな腫瘍や石灰化した微細な乳がんを発見することができ、乳房の病気の診断には欠かせない検査です。現在は乳がんの精密検査の一つとして用いられるものですが、検診にも用いることができます。
どうやって撮影するの?
乳房は、比較的柔らかい組織でできているために、通常のエックス線撮影とは違う専用の撮影装置を使って撮影します。装置の前に立って、左右の乳房を片側ずつ方向を変えて数回撮影します。乳房全体がかけないように、撮影技師が乳房をひっぱり、装置で圧迫します。検査時間は更衣から撮影終了フィルム確認まで含めておよそ10分~20分程度です。
なぜ乳房への圧迫が必要なの?
マンモグラフィー撮影では、圧迫板で乳房を直接挟んで写真を撮ります。圧迫することにより丸みのある乳房を均等に薄くします。乳房は人により厚みも大きさも違いますので、乳腺や脂肪、血管などの重なりをなくして、より鮮明なよい写真を撮るためには乳房をなるべく均等に圧迫して撮ることがとても必要となります

※圧迫により、個人差はありますが痛みを伴います。できるだけ肩の力を抜いて、撮影にご協力くださいますようお願いします。
※また、圧迫により放射線の被曝量を少なくする効果もあります。

マンモグラフィー検診は有効なの?
マンモグラフィー検診はアメリカ、ヨーロッパでは最も一般的で、安全性が確立されており、乳がんによる死亡を減少させる効果が得られています。マンモグラフィーを使った場合、しこりとして触われないごく早期の乳がんを発見することができます。検診で異常がなくても、次の検診までの間に乳がんが見つかることがあります。継続して、定期的な受診をすることが大切です。
乳腺超音波検査(乳腺エコー)ってなに?
超音波の機械を乳房にあてがんなどの病巣がないか調べます。超音波検査の利点としては、乳房を圧迫しないので痛みがないこと、しこりを作るタイプのがんの発見に適していること、そして、若い女性の豊富な乳腺ほど逆に病気を見つけやすいこと、放射線被曝がないことなどがあります。
乳がん検診と月経との関係は?
乳腺は女性ホルモンの影響を受けています。排卵から月経が始まる頃まで、卵巣から分泌されるホルモンによって影響を受け、乳房がしばしば硬くなったり痛みを感じたりします。閉経前の方が検診を受けるとき、または自己検診を行うタイミングは月経開始後1週間くらいがベストといわれています。この時期は乳腺の状態が安定し、余計な張りやしこりがなく、痛みも少ないため正確な結果を得やすいと言えます。
エックス線被曝について
マンモグラフィーの撮影で体がうけるエックス線の量はわずかなので、ほとんど危険性はありません。マンモグラフィーで受ける放射線の量(1~3ミリグレイ)は、東京−ニューヨーク間の飛行機の中で受ける宇宙からの自然の放射線量とほぼ同じくらいです。マンモグラフィー撮影による被曝の危険性よりも、撮影によって早期乳がんが発見できることのメリットの方がはるかに大きいのです。しかし、ほんのわずかな被曝量ですが、レントゲン検査のため妊娠中の方は受けられません。