クリニカルインディケーター(臨床指標)とは、病院の機能や診療実績等、様々な指標を具体的な数値として示したものです。指標を分析し、改善を促すことにより、医療の質の向上を図るとともに、患者にとって分かりやすい医療情報を提供することを目的としています。
当院では、今後とも継続的に臨床指標の分析や改善、見直し等を進め、さらなる医療の質向上に努めてまいります。
泉川病院では、以下の12項目をクリニカルインディケーターとして、公表しています。
1.病院全体の指標
(1)入院延べ患者数と外来延べ患者数
入院延べ患者数は当日末の在院患者数です。
延べ外来患者数は初診患者数と再診患者数の合計です。
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
入院延べ患者数 | 40,887 | 40,611 | 38,482 | 38,142 | 37,129 |
外来延べ患者数 | 61,838 | 60,039 | 55,396 | 57,796 | 66,088 |
(2)平均在院日数
一人の患者が入院している日数の平均です。
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
平均在院日数 | 14.0 | 15.6 | 14.8 | 13.9 | 14.0 |
(3)病床利用率
運用しているベッド数に対し、入院患者がどのくらいの割合で入院していたかを示します。
病床利用率が高いことはベッドを効率的に運用していることを表しています。
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
病床利用率 (%) | 93.3 | 92.5 | 87.9 | 87.1 | 86.5 |
(4)クリニカルパス実施状況
クリニカルパスとは、入院から退院までの治療や検査等のスケジュールを整理した標準的な診療計画書のことです。入院時に患者に提供し、検査方法や治療内容、食事、入浴、リハビリ等の生活の流れを理解していただきます。また、標準からの偏位を分析することで医療の質を改善する手法としても利用しています。
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
クリニカルパス適用率 (%) | 24.9 | 25.0 | 21.2 | 21.5 | 20.4 |
2.救急医療の指標
(1)救急搬送受入件数
救急医療におきましては24時間365日、いつでも迎え入れができる体制をとっております。
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
救急搬送受入件数 | 858 | 825 | 812 | 918 | 997 |
3.処置及び検査に関わる指標
(1)検査件数
検査の中でも件数が多い、内視鏡、血管造影、CT、MRI、マンモグラフィの検査件数です。
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
内視鏡 | 2,164 | 1,984 | 1,752 | 1,839 | 1,731 |
血管造影 | 605 | 631 | 615 | 647 | 596 |
CT | 4,313 | 3,944 | 4,390 | 4,630 | 4,222 |
MRI | 831 | 955 | 1,003 | 923 | 841 |
マンモグラフィ | 629 | 732 | 579 | 534 | 589 |
(2)ME機器点検実施件数
除細動器や透析装置等のME(Medical Engineering)機器の点検の件数です。機器の故障を未然に防ぎ、安全性を保つために点検を実施しています。
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
ME機器点検実施件数 | 2,668 | 2,666 | 2,667 | 2,666 | 2,817 |
4.がん医療に関する指標
(1)外来化学療法件数
化学療法とは、抗がん剤を使用した治療のことです。外来での化学療法は自宅での生活を続けながら治療を行うことができます。副作用を軽減する治療法の進歩や患者の社会生活重視の観点から外来での化学療法を積極的に進めています。
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
外来化学療法件数 | 48 | 28 | 46 | 49 | 64 |
5.薬剤に関する指標
(1)服薬指導件数
入院患者へ服薬指導を実施した件数です。服薬指導を行うことによって、患者の自己判断による服用の休止・中止や服用量の増減等を防ぎ、適切な薬の使用を促すことができます。
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
入院患者服薬指導 | 1,761 | 1,610 | 2,115 | 2,435 | 2,991 |
(2)ジェネリック医薬品使用率
入院医療で使用される全薬剤のうち、ジェネリック医薬品が占める割合です。
ジェネリック医薬品とは、品質や安全性が新薬と同等であることを厚生労働省の承認を得て製造・販売する医薬品のことです。ジェネリック医薬品は新薬より低価格となるため、患者の自己負担を軽減します。2022年度はジェネリック医薬品の供給が不安定であったため、先発品へ置換し、使用率が低下しています。
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
ジェネリック医薬品使用率 (%) | 98.0 | 98.3 | 98.0 | 95.9 |
6.栄養に関する指標
(1)栄養指導件数
管理栄養士が治療や予防等のための食事について個々の状況に合ったアドバイスを行います。
個人の生活スタイルに合わせた個別指導と講習会形式で行う集団指導があります。
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
個別指導 | 815 | 960 | 1244 | 1245 | 1347 |
集団指導 | 87 | 53 | 2 | 42 | 14 |
(2)栄養情報提供書発行件数
退院患者が介護施設へ移動する際や在宅に戻る際に、退院後の栄養管理や摂食・嚥下等の支援を行うため、栄養情報提供書を発行しています。
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
発行件数 | 316 | 416 | 421 | 468 | 393 |
7.リハビリテーションに関する指標
(1)100床当たりのセラピスト数
病床100床につき、セラピストが何人配置されているかを示しています。
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
理学療法士(PT) | 5.0 | 5.0 | 5.0 | 5.0 | 5.0 |
作業療法士(OT) | 2.5 | 2.5 | 2.5 | 2.5 | 2.5 |
言語聴覚士(ST) | 0.8 | 0.8 | 0.4 | 0.4 | 0.4 |
(2)リハビリテーション実施患者の在宅復帰率
リハビリテーションを実施した患者のうち、自宅へ退院した方の割合です。
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
在宅復帰率 (%) | 59.4 | 61.2 | 60.2 | 55.7 | 51.1 |
(3)患者一人あたりのリハビリ実施単位数
一日にどれくらいのリハビリテーションを受けられたのかを示しています。
1単位は20分です。
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
実施単位数 | 2.14 | 1.99 | 2.06 | 2.07 | 2.10 |
(4)入院日からリハビリテーション処方日までの日数
入院後、早急にリハビリテーションを開始することで、機能低下の予防と改善を図り、その後の生活の質の向上につながると考えられています。
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
リハビリ開始までの日数 | 7.31 | 7.22 | 5.84 | 6.19 | 8.20 |
(5)疾患別リハビリテーション実施単位数の比率
疾患別にリハビリテーションを実施した割合(%)を示します。
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
脳血管疾患 | 6.5 | 7.9 | 5.0 | 4.7 | 3.0 |
廃用症候群 | 33.1 | 38.0 | 33.2 | 36.5 | 35.6 |
運動器 | 36.8 | 31.4 | 31.7 | 28.1 | 43.1 |
呼吸器 | 16.2 | 14.6 | 19.4 | 21.6 | 8.5 |
心大血管 | 6.8 | 7.5 | 10.0 | 9.0 | 9.8 |
がん | 0.6 | 0.6 | 0.7 | 0.1 | 0.0 |
8.看護に関する指標
(1)褥瘡発生率
褥瘡(じょくそう)とは、長時間病床についていたために、同じところに一定以上の圧力が持続的に加わることによって、皮膚に障害を起こした状態をいいます。一般的に「床ずれ」とよばれています。医師、看護師、管理栄養士等の様々な職種により褥瘡対策チームを構成し、治療やケアをして褥瘡発生防止に努めています。
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
褥瘡発生率 (%) | 0.70 | 1.13 | 0.82 | 0.67 | 0.98 |
9.医療安全に関する指標
(1)入院患者の転倒・転落発生率(1,000人あたり)
入院中の患者の転倒やベッドからの転落等の発生率です(1,000人あたり)。年齢や病気の影響で、歩行中の転倒やベッドから転落する可能性が高くなります。転倒・転落による傷害発生の事例を分析することで、要因を特定し、予防策を講じています。
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
転倒・転落発生率(‰) | 2.03 | 1.97 | 1.69 | 2.10 | 1.64 |
10.地域医療に関する指標
(1)紹介・逆紹介患者率
他の医療機関から紹介状により紹介された患者の割合を紹介率、当院から他の医療機関へ紹介した患者の割合を逆紹介率といいます。地域の医療機関との連携の指標であり、これらの数値が高いということは、地域医療に貢献していると考えることができます。2022年度はCOVID-19の影響で7月、8月、1月の初診患者数が通常の3倍以上増加したことにより、紹介率・逆紹介率共に数値が減少しています。
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
紹介率 (%) | 50.6 | 53.7 | 56.3 | 47.4 | 22.8 |
逆紹介率 (%) | 36.6 | 38.7 | 73.8 | 59.7 | 26.0 |
(2)診療依頼・検査依頼
他の病院または診療所からの診療・検査の依頼件数です。
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
診療依頼 | 282 | 276 | 286 | 302 | 290 |
検査依頼 | 473 | 511 | 402 | 467 | 332 |
(3)居宅介護情報提供書件数
居宅介護支援事業所へ提供した介護情報提供書の件数です。
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
居宅介護情報提供書 | 114 | 165 | 112 | 105 | 105 |
11.ICD-10に基づいた指標
ICDとは、国際連合の専門機関の一つであるWHO(世界保健機関)が作成する疾患の分類です。
その分類をもとに統計データを体系的に記録し、分析します。
(1)ICD-10の大分類に基づいた疾患別患者数
大分類 | 大分類名称 | 2018 年度 | 2019 年度 | 2020 年度 | 2021 年度 | 2022 年度 |
A00-B99 | 感染症及び寄生虫症 | 84 | 68 | 87 | 113 | 79 |
C00-D48 | 新生物<腫瘍> | 191 | 137 | 145 | 146 | 115 |
D50-D89 | 血液及び造血器の疾患並びに免疫機構の障害 | 24 | 16 | 28 | 22 | 16 |
E00-E90 | 内分泌、栄養及び代謝疾患 | 104 | 76 | 117 | 124 | 103 |
F00-F99 | 精神及び行動の障害 | 21 | 25 | 23 | 30 | 14 |
G00-G99 | 神経系の疾患 | 72 | 79 | 62 | 62 | 52 |
H00-H59 | 眼及び付属器の疾患 | 3 | - | - | - | 1 |
H60-H95 | 耳及び乳様突起の疾患 | 34 | 41 | 35 | 33 | 38 |
I00-I99 | 循環器系の疾患 | 761 | 818 | 752 | 772 | 715 |
J00-J99 | 呼吸器系の疾患 | 344 | 334 | 317 | 301 | 243 |
K00-K93 | 消化器系の疾患 | 275 | 246 | 229 | 270 | 291 |
L00-L99 | 皮膚及び皮下組織の疾患 | 33 | 37 | 39 | 43 | 16 |
M00-M99 | 筋骨格系及び結合組織の疾患 | 41 | 50 | 63 | 51 | 46 |
N00-N99 | 腎尿路生殖器系の疾患 | 229 | 208 | 247 | 251 | 235 |
R00-R99 | 症状、徴候及び異常臨床所見・異常検査所見で他に分類されないもの | 11 | 4 | 2 | 4 | 2 |
S00-T98 | 損傷、中毒及びその他の外因の影響 | 263 | 227 | 249 | 241 | 189 |
U00-U99 | 特殊目的用コード | - | - | - | 11 | 238 |
(2)ICD-10の大分類に基づいた疾患別平均在院日数
大分類 | 大分類名称 | 2018 年度 | 2019 年度 | 2020 年度 | 2021 年度 | 2022 年度 |
A00-B99 | 感染症及び寄生虫症 | 14.86 | 15.07 | 15.49 | 16.21 | 21.88 |
C00-D48 | 新生物<腫瘍> | 12.93 | 17.56 | 14.44 | 14.56 | 17.03 |
D50-D89 | 血液及び造血器の疾患並びに免疫機構の障害 | 21.46 | 12.00 | 23.00 | 16.32 | 25.30 |
E00-E90 | 内分泌、栄養及び代謝疾患 | 17.53 | 19.17 | 15.34 | 17.09 | 26.18 |
F00-F99 | 精神及び行動の障害 | 4.05 | 11.80 | 13.00 | 6.17 | 11.83 |
G00-G99 | 神経系の疾患 | 6.13 | 5.09 | 7.07 | 8.29 | 9.36 |
H00-H59 | 眼及び付属器の疾患 | 3.67 | - | - | - | 3.00 |
H60-H95 | 耳及び乳様突起の疾患 | 5.71 | 6.49 | 4.51 | 6.55 | 5.60 |
I00-I99 | 循環器系の疾患 | 17.69 | 17.15 | 15.99 | 14.10 | 14.82 |
J00-J99 | 呼吸器系の疾患 | 23.99 | 25.27 | 23.68 | 24.96 | 18.79 |
K00-K93 | 消化器系の疾患 | 13.60 | 15.46 | 14.07 | 14.99 | 13.52 |
L00-L99 | 皮膚及び皮下組織の疾患 | 18.36 | 16.65 | 21.67 | 16.47 | 14.30 |
M00-M99 | 筋骨格系及び結合組織の疾患 | 22.81 | 35.00 | 21.48 | 23.47 | 15.21 |
N00-N99 | 腎尿路生殖器系の疾患 | 16.11 | 20.05 | 15.83 | 17.65 | 19.73 |
R00-R99 | 症状、徴候及び異常臨床所見・異常検査所見で他に分類されないもの | 12.09 | 19.75 | 29.50 | 9.00 | 1.00 |
S00-T98 | 損傷、中毒及びその他の外因の影響 | 19.02 | 18.97 | 19.26 | 15.20 | 18.04 |
U00-U99 | 特殊目的用コード | - | - | - | 16.55 | 14.68 |
12.医療サービスに関する指標
泉川病院では、『待たせない病院』をコンセプトの一つに掲げています。すべての職員が一丸となり、患者さんに満足していただける病院をめざし、日々努力してまいります。
(1)患者満足度
無記名回答方式にて患者満足度アンケート調査を実施し、有効回答の中から満足度を算出しています。「非常に満足」、「満足」、「普通」、「不満足」、「非常に不満」の5つの中から「非常に満足」と「満足」を合計した割合(%)を以下に記載しています。
患者満足度 (%) | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
入院 | 81.5 | 76.0 | 77.5 | 79.7 | 86.5 |
外来 | 72.3 | 71.8 | 75.2 | 80.4 | 76.2 |
(2)診察待ち時間
予約患者と予約なしの患者ごとに、診察までの待ち時間を集計しています。
予約あり (%) | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
待ち時間 30分以下 | 65.4 | 64.8 | 65.5 | 70.3 | 82.0 |
待ち時間 31-60分 | 19.2 | 26.8 | 23.9 | 23.6 | 14.0 |
待ち時間 61-90分 | 8.8 | 5.6 | 8.5 | 4.7 | 4.0 |
待ち時間 91-120分 | 4.4 | 2.8 | 1.4 | 1.4 | 0.0 |
待ち時間 121分以上 | 2.2 | 0.0 | 0.7 | 0.0 | 0.0 |
予約なし (%) | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
待ち時間 30分以下 | 17.9 | 27.5 | 24.5 | 17.3 | 25.0 |
待ち時間 31-60分 | 33.9 | 31.4 | 32.1 | 30.8 | 39.6 |
待ち時間 61-90分 | 37.5 | 23.5 | 28.3 | 26.9 | 25.0 |
待ち時間 91-120分 | 10.7 | 11.7 | 3.8 | 7.7 | 2.1 |
待ち時間 121分以上 | 0.0 | 5.9 | 11.3 | 17.3 | 8.3 |
(3)会計待ち時間
会計までの待ち時間を集計しています。
会計待ち時間 (%) | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
待ち時間 10分以下 | 39.3 | 89.6 | 89.7 | 96.6 | 93.3 |
待ち時間 11-15分 | 16.3 | 6.9 | 4.8 | 2.7 | 5.3 |
待ち時間 16-20分 | 16.3 | 0.7 | 1.4 | 0.0 | 0.7 |
待ち時間 21-25分 | 6.7 | 0.0 | 0.0 | 0.7 | 0.7 |
待ち時間 26分以上 | 21.4 | 2.8 | 4.1 | 0.0 | 0.0 |
-以上-