クリニカルインディケーター(臨床指標)とは、病院の機能や診療実績等、様々な指標を具体的な数値として示したものです。指標を分析し、改善を促すことにより、医療の質の向上を図るとともに、患者にとって分かりやすい医療情報を提供することを目的としています。

当院では、今後とも継続的に臨床指標の分析や改善、見直し等を進め、さらなる医療の質向上に努めてまいります。

泉川病院では、以下の12項目をクリニカルインディケーターとして、公表しています。

1.病院全体の指標
2.救急医療の指標
3.処置及び検査に関わる指標
4.がん医療に関する指標
5.薬剤に関する指標
6.栄養に関する指標
7.リハビリテーションに関する指標
8.看護に関する指標
9.医療安全に関する指標
10.地域医療に関する指標
11.ICD-10に基づいた指標
12.医療サービスに関する指標

 

1.病院全体の指標

(1)入院延べ患者数と外来延べ患者数

入院延べ患者数は当日末の在院患者数です。

延べ外来患者数は初診患者数と再診患者数の合計です。

  2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
入院延べ患者数 39,807 40,887 40,611 38,482 38,142
外来延べ患者数 62,979 61,838 60,039 55,396 57,796

(2)平均在院日数

一人の患者が入院している日数の平均です。

  2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
平均在院日数 12.9 14.0 15.6 14.8 13.9
 

(3)病床利用率

運用しているベッド数に対し、入院患者がどのくらいの割合で入院していたかを示します。

病床利用率が高いことはベッドを効率的に運用していることを表しています。

  2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
病床利用率 (%) 90.9 93.3 92.5 87.9 87.1
 

(4)クリニカルパス実施状況

クリニカルパスとは、入院から退院までの治療や検査等のスケジュールを整理した標準的な診療計画書のことです。入院時に患者に提供し、検査方法や治療内容、食事、入浴、リハビリ等の生活の流れを理解していただきます。また、標準からの偏位を分析することで医療の質を改善する手法としても利用しています。

  2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
クリニカルパス適用率 (%) 24.0 24.9 25.0 21.2 21.5
 
 

2.救急医療の指標

(1)救急搬送受入件数

救急医療におきましては24時間365日、いつでも迎え入れができる体制をとっております。

  2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
救急搬送受入件数 705 706 686 680 786
 
 

3.処置及び検査に関わる指標

(1)検査件数

検査の中でも件数が多い、内視鏡、血管造影、CT、MRI、マンモグラフィの検査件数です。

  2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
内視鏡 2,031 2,164 1,984 1,752 1,839
血管造影 623 605 631 615 647
CT 4,330 4,313 3,944 4,390 4,630
MRI 908 831 955 1,003 923
マンモグラフィ 717 629 732 579 534
 

(2)ME機器点検実施件数

除細動器や透析装置等のME(Medical Engineering)機器の点検の件数です。機器の故障を未然に防ぎ、安全性を保つために点検を実施しています。

  2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
ME機器点検実施件数 2,678 2,668 2,666 2,667 2,666
 
 

4.がん医療に関する指標

(1)外来化学療法件数

化学療法とは、抗がん剤を使用した治療のことです。外来での化学療法は自宅での生活を続けながら治療を行うことができます。副作用を軽減する治療法の進歩や患者の社会生活重視の観点から外来での化学療法を積極的に進めています。

  2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
外来化学療法件数 73 48 28 46 49
 
 

5.薬剤に関する指標

(1)服薬指導件数

入院患者へ服薬指導を実施した件数です。服薬指導を行うことによって、患者の自己判断による服用の休止・中止や服用量の増減等を防ぎ、適切な薬の使用を促すことができます。

  2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
入院患者服薬指導 3,071 3,130 2,942 3,602 3,930
 

(2)ジェネリック医薬品使用率

入院医療で使用される全薬剤のうち、ジェネリック医薬品が占める割合です。

ジェネリック医薬品とは、品質や安全性が新薬と同等であることを厚生労働省の承認を得て製造・販売する医薬品のことです。ジェネリック医薬品は新薬より低価格となるため、患者の自己負担を軽減します。

  2019年度 2020年度 2021年度
ジェネリック医薬品使用率 (%) 98.0 98.3 98.0

 

 
 

6.栄養に関する指標

(1)栄養指導件数

管理栄養士が治療や予防等のための食事について個々の状況に合ったアドバイスを行います。

個人の生活スタイルに合わせた個別指導と講習会形式で行う集団指導があります。

  2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
個別指導 446 815 960 1244 1245
集団指導 88 87 53 2 42

(2)栄養情報提供書発行件数

退院患者が介護施設へ移動する際や在宅に戻る際に、退院後の栄養管理や摂食・嚥下等の支援を行うため、栄養情報提供書を発行しています。

  2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
発行件数 316 416 421 468
 
 

7.リハビリテーションに関する指標

(1)100床当たりのセラピスト数

病床100床につき、セラピストが何人配置されているかを示しています。

  2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
理学療法士(PT) 5.0 5.0 5.0 5.0 5.0
作業療法士(OT) 2.5 2.5 2.5 2.5 2.5
言語聴覚士(ST) 0.8 0.8 0.8 0.4 0.4
 

(2)リハビリテーション実施患者の在宅復帰率

リハビリテーションを実施した患者のうち、自宅へ退院した方の割合です。

  2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
在宅復帰率 (%) 57.8 59.4 61.2 60.2 55.7
 

(3)患者一人あたりのリハビリ実施単位数

一日にどれくらいのリハビリテーションを受けられたのかを示しています。

1単位は20分です。

  2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
実施単位数 2.06 2.14 1.99 2.06 2.07
 

(4)入院日からリハビリテーション処方日までの日数

入院後、早急にリハビリテーションを開始することで、機能低下の予防と改善を図り、その後の生活の質の向上につながると考えられています。

  2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
リハビリ開始までの日数 7.07 7.31 7.22 5.84 6.19
 

(5)疾患別リハビリテーション実施単位数の比率

疾患別にリハビリテーションを実施した割合(%)を示します。

  2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
脳血管疾患 8.1 6.5 7.9 5.0 4.7
廃用症候群 28.8 33.1 38.0 33.2 36.5
運動器 38.8 36.8 31.4 31.7 28.1
呼吸器 20.0 16.2 14.6 19.4 21.6
心大血管 2.9 6.8 7.5 10.0 9.0
がん 1.4 0.6 0.6 0.7 0.1
 
 

8.看護に関する指標

(1)褥瘡発生率

褥瘡(じょくそう)とは、長時間病床についていたために、同じところに一定以上の圧力が持続的に加わることによって、皮膚に障害を起こした状態をいいます。一般的に「床ずれ」とよばれています。医師、看護師、管理栄養士等の様々な職種により褥瘡対策チームを構成し、治療やケアをして褥瘡発生防止に努めています。

  2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
褥瘡発生率 (%) 0.70 1.13 0.82 0.67
 
 

9.医療安全に関する指標

(1)入院患者の転倒・転落発生率(1,000人あたり)

入院中の患者の転倒やベッドからの転落等の発生率です(1,000人あたり)。年齢や病気の影響で、歩行中の転倒やベッドから転落する可能性が高くなります。転倒・転落による傷害発生の事例を分析することで、要因を特定し、予防策を講じています。

  2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
転倒・転落発生率(‰) 2.66 2.03 1.97 1.69 2.10
 
 

10.地域医療に関する指標

(1)紹介・逆紹介患者率

他の医療機関から紹介状により紹介された患者の割合を紹介率、当院から他の医療機関へ紹介した患者の割合を逆紹介率といいます。地域の医療機関との連携の指標であり、これらの数値が高いということは、地域医療に貢献していると考えることができます。

  2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
紹介率 (%) 48.0 50.6 53.7 56.3 47.4
逆紹介率 (%) 41.2 36.6 38.7 73.8 59.7

(2)診療依頼・検査依頼

他の病院または診療所からの診療・検査の依頼件数です。

  2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
診療依頼 306 282 276 286 302
検査依頼 498 473 511 402 467

(3)居宅介護情報提供書件数

居宅介護支援事業所へ提供した介護情報提供書の件数です。

  2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
居宅介護情報提供書 89 114 165 112 105
 
 

11.ICD-10に基づいた指標

ICDとは、国際連合の専門機関の一つであるWHO(世界保健機関)が作成する疾患の分類です。

その分類をもとに統計データを体系的に記録し、分析します。

(1)ICD-10の大分類に基づいた疾患別患者数

大分類 大分類名称 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
A00-B99 感染症及び寄生虫症 88 84 68 87 113
C00-D48 新生物<腫瘍> 160 191 137 145 146
D50-D89 血液及び造血器の疾患並びに免疫機構の障害 26 24 16 28 22
E00-E90 内分泌、栄養及び代謝疾患 92 104 76 117 124
F00-F99 精神及び行動の障害 28 21 25 23 30
G00-G99 神経系の疾患 83 72 79 62 62
H00-H59 眼及び付属器の疾患 - 3 - - -
H60-H95 耳及び乳様突起の疾患 37 34 41 35 33
I00-I99 循環器系の疾患 797 761 818 752 772
J00-J99 呼吸器系の疾患 383 344 334 317 301
K00-K93 消化器系の疾患 260 275 246 229 270
L00-L99 皮膚及び皮下組織の疾患 36 33 37 39 43
M00-M99 筋骨格系及び結合組織の疾患 58 41 50 63 51
N00-N99 腎尿路生殖器系の疾患 213 229 208 247 251
R00-R99 症状、徴候及び異常臨床所見・異常検査所見で他に分類されないもの 3 11 4 2 4
S00-T98 損傷、中毒及びその他の外因の影響 212 263 227 249 241
U00-U99 特殊目的用コード - - - - 11

(2)ICD-10の大分類に基づいた疾患別平均在院日数

大分類 大分類名称 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
A00-B99 感染症及び寄生虫症 11.42 14.86 15.07 15.49 16.21
C00-D48 新生物<腫瘍> 16.07 12.93 17.56 14.44 14.56
D50-D89 血液及び造血器の疾患並びに免疫機構の障害 16.08 21.46 12.00 23.00 16.32
E00-E90 内分泌、栄養及び代謝疾患 22.94 17.53 19.17 15.34 17.09
F00-F99 精神及び行動の障害 5.46 4.05 11.80 13.00 6.17
G00-G99 神経系の疾患 7.23 6.13 5.09 7.07 8.29
H00-H59 眼及び付属器の疾患 - 3.67 - - -
H60-H95 耳及び乳様突起の疾患 6.51 5.71 6.49 4.51 6.55
I00-I99 循環器系の疾患 14.25 17.69 17.15 15.99 14.10
J00-J99 呼吸器系の疾患 23.30 23.99 25.27 23.68 24.96
K00-K93 消化器系の疾患 12.07 13.60 15.46 14.07 14.99
L00-L99 皮膚及び皮下組織の疾患 15.67 18.36 16.65 21.67 16.47
M00-M99 筋骨格系及び結合組織の疾患 22.05 22.81 35.00 21.48 23.47
N00-N99 腎尿路生殖器系の疾患 19.34 16.11 20.05 15.83 17.65
R00-R99 症状、徴候及び異常臨床所見・異常検査所見で他に分類されないもの 16.33 12.09 19.75 29.50 9.00
S00-T98 損傷、中毒及びその他の外因の影響 22.44 19.02 18.97 19.26 15.20
U00-U99 特殊目的用コード - - - - 16.55
 

12.医療サービスに関する指標

泉川病院では、『待たせない病院』をコンセプトの一つに掲げています。すべての職員が一丸となり、患者さんに満足していただける病院をめざし、日々努力してまいります。

(1)患者満足度

無記名回答方式にて患者満足度アンケート調査を実施し、有効回答の中から満足度を算出しています。「非常に満足」、「満足」、「普通」、「不満足」、「非常に不満」の5つの中から「非常に満足」と「満足」を合計した割合(%)を以下に記載しています。

患者満足度 (%) 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
入院 85.1 81.5 76.0 77.5 79.7
外来 74.5 72.3 71.8 75.2 80.4
 

(2)診察待ち時間

予約患者と予約なしの患者ごとに、診察までの待ち時間を集計しています。

予約あり (%) 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
待ち時間 30分以下 70.3 65.4 64.8 65.5 70.3
待ち時間 31-60分 20.3 19.2 26.8 23.9 23.6
待ち時間 61-90分 1.6 8.8 5.6 8.5 4.7
待ち時間 91-120分 3.1 4.4 2.8 1.4 1.4
待ち時間 121分以上 4.7 2.2 0.0 0.7 0.0
 
予約なし (%) 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
待ち時間 30分以下 12.8 17.9 27.5 24.5 17.3
待ち時間 31-60分 27.7 33.9 31.4 32.1 30.8
待ち時間 61-90分 21.3 37.5 23.5 28.3 26.9
待ち時間 91-120分 17.0 10.7 11.7 3.8 7.7
待ち時間 121分以上 21.2 0.0 5.9 11.3 17.3
 

(3)会計待ち時間

会計までの待ち時間を集計しています。

会計待ち時間 (%) 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
待ち時間 10分以下 49.6 39.3 89.6 89.7 96.6
待ち時間 11-15分 18.3 16.3 6.9 4.8 2.7
待ち時間 16-20分 16.5 16.3 0.7 1.4 0.0
待ち時間 21-25分 2.8 6.7 0.0 0.0 0.7
待ち時間 26分以上 12.8 21.4 2.8 4.1 0.0